発達障害っ子の新幹線移動でママ涙
◆ストーリー
発達障害児の長男5才と、次男0才と、帰省のため新幹線に乗った時の事です。
この日はパパが仕事で、私と子ども達だけでした。
いよいよ下車する駅が近づいてきて、通路に並んだ時…。
あるお子さんが、長男の大好きなキャラクターのおもちゃで遊んでいるのが目に入りました。
「やばい!」と思った瞬間、長男が「あれ欲しいー!降りたくない!︎」と暴れ出し、
通路に座り込んでしまいました。
新幹線はホームに到着し、ベルもアナウンスも聞こえます。
私はキャリーケースを手に持っていて、0才児を抱っこしたまま。
暴れる5才児まで抱き抱えるのは不可能で、頭の中が真っ白になり、泣きそうでした。
そのとき、声をかけてくれたのが、サラリーマンと大学生くらいの男性でした。
とっさのことで、何と声を掛けられたのか覚えていませんが、
とにかくホームに出て、サラリーマンにキャリーケースを渡し、若い男性に赤ちゃんを渡し…
私は新幹線に戻って、暴れる5才の息子を、力づくでホームに連れ出しました。
お世話になった方々にお礼を伝え、ホッとして涙がつーっと流れたのを覚えています。
この出来事があってから、誰かが困っていたら、声をかけるようにしています。
発達障害児の子育てをしていると、「躾がなってない!」など、白い目で見られることがありますが・・・いろんな子ども達が、一緒に生きている。
そんな世の中で、誰かの役に立てたり、助けて頂いたり。
『おたがいさま』が、たくさんある毎日を、もっと広げたいです。
◆審査員コメント
自閉症の兄と共に暮らしてきた一人の人間として、新幹線車内の光景が見えてきました。
この世界に溢れる「一人じゃない」を、「なんとかなる」を、信じ続けたいと強く感じさせていただきました。
ほんとうに、おめでとうございます。
◆受賞者コメント
この度は、へラルボニー賞、シェアリング賞のW受賞という嬉しいご連絡を頂き、びっくりしつつとても喜んでおります。ありがとうございます。
エピソードにも記載した通り、発達障害っ子である息子との日々にはスムーズにいかないことも多々あります。しかし、一人で抱えるのではなく、ちょっと勇気を出していろんな方々に助けて頂き、そして私も誰かのお役に立てることを出来ることからやってみる!そんな『おたがいさま』のおかげで、今は子ども達3人とワイワイ楽しく過ごしています。
困っていることを隠すのではなく、『おたがいさま』の想いで共有し楽しめる社会を作っていきたいと思います。希望を頂ける賞をありがとうございました。